20代後半独身男。軽いうつ病&SADによる休養を終えて無事に転職成功。その後の生活+愛犬「あんこ」の話。
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出演:イーサン・ホーク、ユマ・サーマン、ジュード・ロウほか
ジャンル:SF
洗練されてはいるが、モノトーンを感じさせる近未来を舞台に、ただただ自分の夢を達成させるために閉ざされた社会と戦う主人公と、その直向さに一度は失った自分の夢を重ね、協力する“半身”の物語。
表面的にはSFだが、中身はサスペンス。
子供を遺伝子操作で調整して生むのが当たり前の世の中で、自然妊娠により生まれたヴィンセントは、心臓に致命的な欠陥を抱えている。
遺伝子の優劣=人の価値、がこの世界の暗黙の掟。
「宇宙飛行士」になる夢を抱きつつも、家族にまで無謀だと馬鹿にされ、ヴィンセントはどんどんと未来が狭まっていくのを感じ始める。
そんな時、絶望感でいっぱいのヴィンセントは、”完璧”な存在である弟に遠泳の勝負を挑む。
失うものはないヴィンセントは命を掛け、この勝負に勝利。
不可能と思っていたことが可能となっと瞬間、ふと胸によぎる思い。
もしかしたら・・・新たなる決意を胸に、家族の元を去る。
しかし、遺伝子の壁は厚かった。
普通の手段ではとても宇宙飛行士にはなれない。
そこで思いついたのが、裏の手口。
遺伝子を買うのだ。
契約したのは下半身不随だが、元花形水泳選手だったユージーン。
最初はヴィンセントを嫌悪するユージーンだが、自分の夢を追い続けるヴィンセントの熱意に、一度は捨てた自分の夢を重ねるようになる。
そして、その計画は進み始める。
数年後、無事に宇宙飛行士となったヴィンセント。
数週間後には宇宙に飛び出すことも決まり、全てが順風満帆のように思えた。
しかし、ある事件が起こる。
同僚が一人殺されたのだ。
警察の捜査が始まり、隅々まで調査されていく中、ヴィンセントの睫毛が拾われてしまうことで、物語は急展開を迎える。
そして、捜査員の中に成人した弟の姿があった。
中盤までのあらすじはだいたいこの様な感じ。
この後、同僚で恋人のアイリーンとの絡みや、ヴィンセントに伸びる捜査の手で一気に盛り上がりを見せる。
では、感想。
成人後の弟との対決のシーン、常に感情を押し隠していたジェロームが声高に叫ぶ。
「勝手に僕の人生を決め付けるな!!」
この言葉が物語のすべてを表しているような気がする。
主人公は、絶対に宇宙飛行士になりたかった訳ではなく、ある意味完成された社会を出し抜くことで、自分を小さな枠の中に閉じ込めようとした社会に対して抵抗したのだと思う。
そして、ヴィンセントはこの戦いに勝利した。
ただ、ヴィンセントは気付いてしまった。
宇宙に行くこと以上に大切なものがあったということに・・・。
ユージーンはもう居ない。
アイリーンは自分が捨て去った地球に残った。
ヴィンセントはきっと、もう地球には戻れないだろう。
吐かれた最後のセリフ。
「本当に大切なものは全て、地球にあったのかもしれない。」
とても切ない。
鑑賞後に静かな余韻を残す作品。
人間の“思い”の力、気高さに魅せられた。
また、ジュード・ロウの絶妙な演技が印象的。
【勝手に評価】10点(作5、好5)
※評価基準・・・作品評価と好き度(各5点満点)を合わせた計10点満点で評価
①作品評価・・・物語、演出、キャスティング等の良し悪し
②好き度・・・単に自分の好みかどうか
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